炎魔焦熱地獄零號機(エグ・ゾーダス) †
やはりというか当然と言うか、燃焼室の形状が悪いのである。
某氏に頂いた実物の写真と見比べてみたら・・・一番に燃焼室の大きさ自体がダントツに違う。
その大きさたるや、
タービン本体よりデカい
のである。
そして俺がやってるような小さなバーナーではなく、燃焼室容積カツカツの大きさの燃焼筒があるのだ。
悩んでいても仕方ないから、とりあえず先人のマネをしてみようと以前の燃焼室をブッタ切って、
上方向にゴツい燃焼室を作り始めた。
燃焼筒にはステン板を円錐状に曲げ穴を開けて製作。
けど・・・なんか違うような気がする。
なんか納得行かないのだ・・・
とりあえずなぜ思った所で火が付かないのか。その謎を解くことが先決なのだ。
今の状態がなぜ悪いのかを考えるための資料を探しに本屋に行く。
工業規格書辺りのコーナーを探していると・・・良さげな本がありました。
「ガス燃焼の理論と実際」ってな本がありまして、パラパラと見ていると・・・
ガスを燃焼させるのに必要な理屈や、今まで疑問に思っていた事が殆ど理解出来ました。
しかも今まで小さな全体図でしか見たことが無かった燃焼室形状と仕組みがモロそのままで載っている。
う〜んコレは買いだ。
野望の実現には4400円という
家4軒建つような大金
すら惜しまないのだ。
で、じっくり読んで見て現状の問題点を出してみる。
そう、燃焼の条件を満たす場所は燃焼室ではなく排気口だったのだ。
そりゃダメだよな。
連続燃焼が成立するには、適正な混合比で混合されたガスと
保炎
が必要なのである。
例えばカセットコンロバーナーを見てみると・・・
要は逆流して渦を巻く所を作ってやれば、炎が保たれ連鎖的に燃焼が続く。
ココが保炎領域な訳である。
以前のはこの保炎もへったくれも無く、下からの空気がガスを吹き飛ばして、
燃焼室自体が混合室
になっていたに過ぎなかったのだ。
で、たまたま燃焼の条件を満たせたのが排気口出口だったって訳。
ではモノホンの燃焼室はどないなっとんねんと言うと・・・
(財団法人省エネルギーセンター出版、仲町一郎/庄司不二雄共著、ガス燃焼の理論と実際 ISBN4-87973-117-X P169より引用)
まずコンプレッサーとタービンの間は完全に分かれているのであります。
俺が全体図で見て勝手に解釈してたのとは大違い。
そして保炎領域を兼ねた1次燃焼領域で濃い状態で点火。
次に2次燃焼領域で更に空気を吹きつけて過剰空気燃焼させ燃焼温度を上げるのだ。
そして希釈空気口で上がり過ぎた温度を下げたりして排出される。
なるほど、理に適ってるわ。
よっしゃ、これを念頭に置いて、参考に載ってる製作し易そうなのをパクって1つこさえてみたのがコレだ。
どう?
凄く燃えそうじゃない?
根元は以前の燃焼室を流用する為に、工場に転がっていたステンのカセットコンロバーナーをブッタ切って、ジェット部と1次燃焼領域に流用。
結局コイツから離れられんのな。(笑
2次燃焼領域となる部分のテーパーには、建築用足場パイプを地面に打ち込む時に使用するテーパー状のフタ(通称モグラって言うんだっけ?)を使用。
キレイなテーパーになってるし、値段も300円とリーズナブル。
加工の手間の短縮に大いに役立った。
小さく無数に開いた穴は冷却用空気の導入口。
ここから空気を流し込み、空気の層を作って冷却&炎が直接燃焼筒に触れるのを防ぐ寸法だ。
まあ2次燃焼領域も兼ねてるんだけどね。
そうしないと、ホンキで完全燃焼して1000度超えるような温度になれば、
ド鉄っチンの筒なんてイチコロ
だからね。
最後の大穴は希釈領域。
必要かどうかは不明だが、一応縁起モノで開けておくことにした。
試しにカセットボンベを接続し火をつけてみたら、大気圧中でも中央よりかなり手前でキレイに完全燃焼している模様。
こりゃ燃えそうである。
実際はコレにブーストが掛かるからドンドン燃料が入るってワケ。
イタズラにカセットボンベを逆に向けてみた。
液化ガスが生のまま出てこんな状態になる。(ゲラゲラ
液体のままで出て来るので、ガスの流速が無くなりこうなる。
けどそれでも燃えている辺り大したモノである。
普通こんな事したらすぐに火は消えてしまうからね。
これを以前の燃焼室を改造して収納する。
以前の燃焼室のフタの部分をブッタ切り、パイプを入れて延長し溶接した。
これで苦労したプラグ取り付けなどの工程を省略する事が出来るし、なにより
実用性を考えれば
この大きさとレイアウトがベストなのである。
実用?はは、出来たら何かに積んで使ってみるつもりだからね。
収納された状態はこうなる。
これで先ほどの引用したモノホンの燃焼室と同じになるって寸法。
こりゃ燃えるね絶対に。
で、我慢しきれずに早速実験。
以前問題が出てる冷却に関しては、ウォータージャケットに水道水を流し冷却する。
オイルの冷却は・・・とりあえず排水された水をオイルパンにでも掛けておこう。
そして1ミリ径ジェットをセットし、ガス圧0.5キロで始動。
おお、なんか点火がメチャクチャスムーズで火が全然消えない!
これはイケるよマジで・・・
結局自立運転には至らず、ガス圧を1.2キロ辺りまで上げて再チャレンジ。
ん?え?おお、スワぁぁぁあああ〜!
壊れて0位がズレたブーストメーターの針がグングン正圧側に振れながら今まで聞いた事の無い音を奏で始めた!
ドキドキしながら始動のエアガンを放すと・・・回転が・・・下がらない!!
もしやと思いガスバルブを開けていくと、スゥ〜っとブーストメーターの針が動き、
ドンドン回転を上げて行くではないか!!
マヂで成功ぢゃ〜!!!!!
ママ〜!おチンチンが張れ上がって
白いの出てるよぉ〜!!
いやぁ失敬失敬。
マジでブーストメーター約0.6キロ(適当に補正)を差しながら、シゴゴゴゴ〜っと回ってるのである。
まあ残念ながらキーンっていう音速サウンドを奏でるには至っていない・・・
精々ガスタービン
が関の山ながらもマジモンの安定した自立運転に成功した訳だ。
もう自信がついた。
俺の理屈は間違ってはいなかった!
でもまだ気流は音速に達してないので迫力はイマイチ。
一応この写真は起動している状態なのだが、何の変哲もない。
思ったより
凄い静か
なのだ。
しかもマジメに完全燃焼しているので炎を吹く訳でもない。
これでは面白く無い。もっともっと燃料を入れてみよう。
燃圧を上げるのは簡単。
コイツを捻ってやるだけだ。
エンジン起動したままガス圧を上げてみると、背後で排気音が上がる。
まっだまだ燃料入るって事だ。
ガス圧1.8キロまで上げて実験中止。
こんなガス圧が必要だとあまり実用にならないからだ。(まだ言うか
ガス圧を下げる為にジェットを1.5ミリまで拡大して再チャレンジ。
う〜んコレは失敗だ・・・始動性が極端に落ちてしまった。
ちょっとでも油断するとタービン停止状態で排気口から火を吹く。
けどツボにハマったら・・・コレくらいは軽く行く。
負圧側に0位がズレてるのでコンマ1程足して読めば・・・ブースト1キロオーバー。
ウェイストゲートを殺していなかったらとっくに動いている領域だ。
この後更に燃圧を2.3キロくらいまで掛けたら、ブーストは
ブラックゾーン突入
こりゃマジでタービン壊すからやめとこ。
けどそれでも音速サウンドは聞けなかったんだよなぁ・・・
どうやらジェット1ミリというのは死守せねばならん大きさのようだ。
でないとガス流速が落ちてしまって宜しくない模様。
コレに合わせて空気穴拡大すれば大丈夫かどうかは自信が無いので1ミリで我慢するつもり。
そして流速が遅い=燃焼ガスの温度が下がってる可能性もある。
要はサルマネで開けた希釈空気穴がいけないのかもしれない。
これと多過ぎる冷却空気穴で燃焼ガスの温度を下げてしまい、流速が落ちているのかも。
これについてはステン板で覆って穴を殺し再度試す予定。
んで高いガス圧が必要なのが痛い所。
デカいボンベを搭載するよりカセットコンロ数本で動かした方が余程コンパクトで
如何わしい感じ
を出せるのだが・・・実用性を考えればね。(まだ言うか
ガス圧1.5キロなんて、カセットボンベ3本程度ではどうも捻り出せそうにない。
まあやって見ないことにはわからないので、試しては見るつもり。
ジェット1ミリのままでジェットの数を増やすって方法もあろうけどコレは無理。
カセットコンロバーナー流用の為、そんなスペースは無いのだ。
もう一度作り替えるくらいならもっとデカいの作る。
ま、最悪一番小さなプロパンボンベが3〜4000円程度で入手出来るようなので、
コレを使う事になるだろう。
最後に・・・先送りにしてしまってる冷却の問題。
タービンとオイルの冷却をスムーズに行うには、やはり水冷化しか無いだろう。
そしていくらポンプ出口でオイル冷やしても、オイルパンの温度がハネ上がってオイルポンプがテンプラになるので、オイルパン内で冷却してやる必要がある。
こちらも今コレを書いている時点で策がまとまり実物製作に入っているので近日中には答えがでるだろう。
あと発見したのが、タービンってブローバイガスを吐くのだ。(^^;
だからタービンのオイルリターンはあんなに太いワケだ。
ま、コレは無視してもいいだろう。
てな訳で次のページで色々対策を打ってみることにしよう。