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お色直しの巻

全バラが終了し、後はひたすら洗っては組み、洗っては組みの繰り返しです。
真っ先にフレームから手をつけることにした。
サビはあまりないので、洗うだけにした。
エンジンのエキパイ付近や、ピボット付近には、

泥・埃のオイルソース、グリス添え

が鬼のように付着しており、普通の洗剤ごときでは歯が立たない。
そこで、前から試してみたかったアイテムを使ってみた。

wash.jpg

何を隠そう、レンジ用の洗剤である。
あのギトギトの油を落としてしまうのだから、 エンジンオイルやグリスが落ちないわけはないだろう。
早速使ってみたのだが・・・これはイケます。
ガンガン落ちますホント。

マレに取れない汚れが残ることもあるけど、 ママレモンで止めを刺せば完璧です。
単価が激安なため、気にせずにガンガン使えるし。
これは久々のヒットかもしれない。

思わず夢中でフレームとスイングアームを洗いまくり、 更にエンジンまで洗ってしまった。
新品には程遠いが中々きれいになった。

スイングアームは差し支えない程度にきれいになったが、 その奥のサスペンションリンクはサビが浮き、中々汚い。

link1.jpg

更にトルクスロッドとスタンドもかなり錆が浮き、 情けない状態になっている。
しかも一度折れて溶接してある・・

stand1.jpg

これらは色を塗り直してみることにした。

まず錆を落とす。
ボール盤にカップブラシを取り付け、一気にザ〜っと仕上げる。
本当ならペーパーで仕上げ、サーフェイサーを吹き、 更にペーパーをかけ塗装。
仕上げにクリアを吹き完了となるのだが、 そこまでしたところでリンクなんか

絶対誰も見ない

のでそのままシルバーだけを厚めに吹いてしまう。
当然クリアも吹かない。
サビりゃまた塗ればいいぢゃないですか。
スタンドだって足で蹴りまくるんだから嫌でも塗装剥げるし、 トルクスロッドも目立つパーツではない。
所詮はアシで、コケてナンボのオフ車である。

マスキングも凝る必要はない。
グリスを塗っておいて、あとで拭き取れば簡単に、細かいところまで対応可能である。
そんなこんなで、あっというまに塗装が完了した。
リンクのベアリングのグリスを掻き出し、キレイなグリスをたっぷり入れておく。
扱いは悪いが大人しく乗っていたようで、ベアリングに打痕もなく、 十分再使用可能だった。

sa.jpg

次にフロントフォークだが、これも中々サビが浮き、情けない状態になっている。
トップブリッジと3つ股もサビで塗料がめくれ、所々白い錆が見え隠れしている。
これも再塗装決定。

tb1.jpg

しかしこれらのパーツは目立つ部品なので今度はきっちりクリアを吹くことにする。
でもサーフェイサは吹かないよ。
あんなもの下地を平らに仕上げるパテである。
さらに水研ぎなんかしたら余計錆を呼ぶ。
仕上がりにこだわらなければ結構おおちゃくできるのだ。

フロントフォークはアルマナイト仕上げではなく塗装である。
だからサビるのである。
電動工具といえども、これだけの面積の塗装を剥ぐのは面倒な作業なので、 剥離剤にて塗装を剥ぐ。
経験者は良く知っているはずだが、剥離剤の威力は凄まじく、 みるみる塗装を浮かせていく。
それは塗装にとどまらず、ステッカーやオイルシールなどのビニール、ゴム製品や、 作業者の手の皮までどんどん剥いでいく。
それくらい強烈な薬品なので、くれぐれも使い方を間違えないように。
嫌いな奴の

車に塗りたくり逃げる

とか、間違えても考えてはいけない。
ちなみに最大限に性能を上げるには、薬と品物を温め、 剥離剤を塗った直後にサランラップをかけるのです。
こうすれば蒸発する成分を無駄にすることもなく、 少しの量でたくさんの面積の作業を行うことが出来る。

チト話がそれすぎてしまいました。
塗料を剥離したら、またまたカップブラシで錆を落とす。

at1.jpg

下地処理完了。一瞬このまま使いたくなった。

tb2.jpg

フォークのダストシールを引っこ抜き、適当にウエスを巻いておく。
マスキングなんてこれで十分なのだ。
アセトンで脱脂した後ひたすら塗装。
よく、「30センチ放して薄く少しづつ塗れ」と、 缶スプレーの説明書に書いていますが、 自信が無いならちゃんと説明通り塗りましょう。
塗装で特に重要なのが、

  • 下地処理は確実に
    塗装の出来は下地で80%は決まります。
    よ〜くペーパーかけて、脱脂した後は手の油さえもつけないこと。
    下地だけは「これぐらいなら大丈夫だろう」というのは通用しません。
    とにかく徹底的に油を取ること。
  • スプレーを温めろ。
    いざ塗る前に、スプレーを湯煎して温める。
    こうすれば内部のガス圧が高まり、細かくキレイなキリがでるのです。
    間違っても直接火にかけたりしないように。
  • 塗りにくいところから塗り始める
    人間の心情からいって、真っ先に塗り始めるのは目の前にある平らな面です。
    しかしここから塗り始めてしまうと、奥の塗りにくい所を塗装するのに手間取り、 こってり乗った平らな面の塗料がタレてくるのです。
    最初に狭い場所とか曲面に、点噴きといって、 塗りにくい場所だけシュッシュッシュっと先に塗料を染み込ませ、乾かしてしまうのである。
    こうすれば後は目立つ塗りにくい面だけ気軽に塗装すれば全体的にキレイに塗れてしまう。
    あと、平らな面でも、目立たないとこから塗り始める。
    目立つところから塗り、あとで目立たないところを塗ると、 肝心な場所に塗料のミストが乗り、ザラザラになってしまう。
    で、このザラザラを直すためにもう一度吹いてタレるという悪循環になるのだ。
    目立たないところは多少ザラザラでも問題ないでしょ?
  • 吹いている間は絶対に動きを止めない。
    塗料を出している間は絶対に動きを止めてはいけない。
    止める場合は吹くのを止めてから手を止める。
    もし動きを止めた場合、その場所に塗料が溜まりタレてくるのだ。
  • 塗る方向をクロスさせない。
    一度縦にスプレーを吹いたら、横方向に動かしてはいけない。
    クロスしたところで塗料が溜まりタレる。
  • ヤバいと思ったら乾かせろ。
    なんとなくタレそうだなぁと思ったら、 短気を起さないで乾くまで待ちましょう。
    そのまま塗ればタレますよ。

とにかく数を塗って、ひたすら慣れるのが早道です。
初めて使う塗料は、適当なガラクタにでも塗ってみて、 タレる限界を見極めておくとか、試し噴きも重要です。
精進あるのみ!

脱脂をして塗り始める。

paint.jpg

そうして1日乾かして、ウレタンクリアを吹く。
ウレタンクリアを吹いておけば、ガソリンなどが付いても溶けにくい。
そして変質が少ない。アクリルのクリアは時間が経つと黄ばんでくるのだ。
更に塗料が柔らかく、 グニャグニャ曲がるようなモノ(オフ車のフェンダーetc)でも割れない。
更に更に、塗装面にへばりつくような性質があり、 アクリルではすぐ剥がれてしまうウレタンバンパーにも塗装ができる。 極めつけは非常にタレにくい。基本を守っている限りまずタレない。
よって塗膜を厚く仕上げることができ、非常にキレイな艶が出る。
しかし塗料の価格が高いのが欠点だ。
普通のアクリル缶スプレーの2倍ほどする。でも性能から考えれば安いモンでしょう。 さて、これで塗装が完了。シルバーがちょっとくすんだようなカンジになってしまったが、 これは塗料同士の相性らしい。
でも十分キレイになったので問題はない。あとは組むだけ。

ちなみに下の写真は、トップブリッジについている、 キーシリンダの取り付けボルトです。

sb1.jpg

盗難対策のため、こういう部分は特殊なボルト(いじり防止付きトルクスetc)
を使っていることが多いのですが、こういうのは初めて見ました。
パーツリストを見てみると、締め込んだ後、頭を千切ってしまうような構造になってました。
さて、これはどうやって回すと思いますか?

こういうのはナメネジ回す要領でいきます。
ポンチを打ち、回転方向にポンチで叩くのです。
こんなことで回せるのかと思うかもしれませんが、 インパクトドライバーも早い話この原理なんです。

sb2.jpg

一瞬の素早い衝撃で攻めれば、意外とすんなり回るんですよ。ボルトは。

キーシリンダの接点が調子悪いのも調べておく。
最初はバラして接点をキレイにするつもりだったんだけど、 残念ながらカシメてあって、ハメ殺しになっている。
こりゃあ分解できないわ。
しょうがないので、隙間から接点復活剤をしこたま入れ、 ひたすたON、OFFを繰り返し洗浄した。
これでなんとか復活出来たけど、たぶん再発するだろうな。
コレ高いんだよなぁ・・・

そんなこんなでフレームのお色直しが完了した。
当初のギトギトから比べれば、

新品以上(当社比)

である。

f_fin2.jpg

f_finish.jpg

そしてこの段階で、フレームなどにコーティングをかけてしまう。
これをかけておけば、以降の洗車が断然楽になる。
エンジン降ろすような機会があれば、ぜひやっておきましょう。


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